相続・成年後見について(司法書士法人貝原事務所)

沼津市の司法書士・貝原事務所の相続・成年後見に関するブログです。

兄弟姉妹の相続について(不動産の名義変更の観点から)

兄弟姉妹の相続について(不動産の名義変更の観点から)

 

 

最近、「兄弟姉妹間での相続」に関するご依頼が連続しました。

いずれも相続登記(亡くなった方の持っている不動産の名義変更)の案件で、ほぼ同時期にご依頼をいただいたのですが、

「遺言の有無」によって、全く異なる展開となりました。

(一件は既に完了し、もう一件は、まだまだ継続中です。)

(ご紹介する事案は、わかりやすさと守秘義務の観点から、実際の事案に内容変更を加えています。)

 

両事案とも、ご依頼主はAさん。亡くなった方はBさん。

Bさんは、Aさんのお母さんのお兄さん(叔父さん)。

Bさん名義の土地の上に、Aさん名義の建物があります。

なお、Aさんのお母さんは既に亡くなっていました。

 

 

1.遺言ありの事案

「BさんからAさんに土地を相続させる。」という遺言があります。

この場合には、Aさんが相続人であることを証明するため、

Bさんの出生から死亡までの一連の戸籍や、Aさんのお母さんの戸籍等をそろえる必要があります。

そろえる戸籍等は、それなりの通数(6~8通くらいでしょうか)となりますが、

Aさんが相続人の資格で集めることができます。

書類さえそろえれば、あとはAさん自身が名義変更のための、相続登記を申請すれば終わりです。

ほかの相続人は、手続きに関与してきません。

 

 

2.遺言なしの事案

この場合には、まずは、Aさんが相続人であることを証明するため、

Bさんの出生から死亡までの一連の戸籍や、Aさんのお母さんの戸籍等をそろえる必要があります。

ここまでは先の事案と同じです。

しかしながら、遺言がないことで、本件の土地は「相続人みんなのもの」になります。

仮にAさんが自分の名義にしたいと思ったら、相続人間で協議をしなければなりません。

では、相続人は誰かというと、

Bさんには子供も、配偶者もいなかったため、Bさんのまずは兄弟姉妹が相続人となります。

さらに、その兄弟姉妹が既に亡くなっていれば、Aさん自身がそうであるように、その下の世代が相続人の資格を引き継ぎます。

この事案では、Bさんを含めて5人の兄弟姉妹がいて、さらにそのうちの3人がなくなっていて、その方の子供が何人かいるという状態でした。

結論としては、相続人がAさんを含めて9人いました。

Aさんは、相続人全員を知っているわけではなく、まずは相続協議のお願いということで、住所を頼りにAさんから相続人あてにお手紙をだそうというのが現在地です。

お手紙を出しても返事がくる保証はありませんし、かりに返事がきて協議ができたとしてもAさんの希望どおりになるとは限りません。場合によっては、ほかの相続人が、自身の相続分に見合った金銭等を分割するよう求めてくる可能性もあります。

 

 

3.

両方の事案とも、AさんがBさんとほぼ同居するような形でお互いの生活を支えあっており、Bさん自身も、自分がなくなった後はAさんに名義を引き継いでもらいたいと思っていたと考えられます。

(遺言のある事案では、その思いが具体的な形で残っており、遺言のない事案では残念ながら推測でしかありませんが。)

 

 

4.

遺言のなかった事案において、Aさんは、土地の名義がBさんであることを心配していました。

しかしながら、いくら親しいなかとはいえ、Bさんの財産に自分が口を出すのはどうかと考え、遠慮していたそうです。

一方で、Bさん自身は、それほど心配に思っていないというケースを良く経験します。

これは、Bさんが無責任というわけではなく、

(1)名義を移す手続きの困難さを把握していない場合や、

(2)ほとんどAさんのものなのだから、まさかほかの相続人が口を出してくることはないと思い込んでいる場合などがあります。

 

そういった方には、つぎのことをお伝えしています。

(1)

遺言がなければ、いったんは相続人「全員」のものになること。

(2)

名義をかえるためには、「相続人全員での協議」が必要になること。

(3)

音信不通や認知症などで、そもそも「協議が円滑に行えない」ケースがあること。

(4)

協議ができたとしても、どんなに疎遠な相続人であっても、相続人としての法律上の取り分を主張してくる恐れがあること。

(5)

以上のような面倒なことは、しっかりとした遺言を用意しておけば、解決できること。

(6)

遺言をつくれば良いのに、以上のようなことに陥る危険性を、Bさんが正しく認識できていないケースが多々あること。

そうとは知らず、Aさんが遠慮して、課題の解決に動き出せないでいること。

 

 

課題解決の方法、アプローチの仕方には、いろいろな種類があります。

権利関係が気になるという方は、ぜひ一度、専門家へ相談することをお勧めします。

弊所でも、こうした課題解決に、積極的に取り組んでおります。

 


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司法書士法人 貝原事務所
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